タイトル

サブマリン

本

伊坂幸太郎

◆あらすじ◆
再び陣内さんの出番

●感想

 大好きなチルドレンの続編。あの陣内さんにまた会えます。本作はチルドレンから10年後?くらいの世界です。チルドレンで家庭裁判所の調査官になった陣内は課長になっています。チルドレンと違って作品の中では時間があまり経ちません。チルドレンは大学時代から始まり、社会人になり、たまに回想で戻ったりもしました。物語もその時によって語る人物が異なりますが、本作は全て武藤の視点から語られます。
 相変わらず伊坂節が強いです。家裁の調査官だから犯罪を起こした未成年を相手にします。深刻な事故を起こした少年を起点に物語が展開します。少年は車で人を轢き殺してしまいました。しかも無免許。もちろん単純な事故ではなくて複雑な事情がありました。少年を更生させるにはどうしたら良いか。2人の調査官としての真価が問われます。まぁなるようにしかならないから適当にやるんですが。
 真剣な問いかけのシーンがあります。「故意に人を轢こうとして未遂になった者」と「事故で人を轢き殺してしまった者」どちらの罪が重いのか。殺意があっても未遂なら許されるのか、人を殺しても殺意がなければ罪は軽くなるのか。この難しい問題に陣内の部下・武藤が真っ向から対峙します。もし自分だったら、そう思いながら読んでみてください。
 相変わらず言動も行動も無茶苦茶な陣内ですが、なかなかどうして少年たちの心をつかみます。もちろん本人にそういうつもりはありません。なんなら子供のように意地を張っているだけです。でも、だから心を動かされるのでしょう。無茶苦茶な中に本人も意識していない愛があるからです。子供は大人が本気か欺瞞かに驚くほど敏感です。損得で近づいてくる大人に心を開くことはないでしょう。
 こんな大人に憧れますがきっとなれません。陣内のこれは天性の物だからです。後天的に身につけることは難しいと思います。だから凡人の私に出来ることはせめて子供に嘘をつかないことくらいでしょうか。子供いませんが。本作の視点は武藤からのみですが懐かしの大学時代のメンバーも登場します。ここに次作への伏線を感じました。チルドレンを読んだ人もそうでない人にもオススメです。

【名言】

 相手の大事なものを蔑ろにするな



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