タイトル

サウスバウンド

本

奥田英朗

◆あらすじ◆
破天荒な父との生活

●感想

 精神科医・伊良部を主人公にしたシリーズしか読んだことなかったですが、これを読んで他の作品も読んでみたくなりました。読みやすいし面白い。サウスバウンドはとても厚い本でしたが結構あっさり読めました。引き込まれるくらい面白かったからだと思います。
 舞台は現代の東京は中野です。主人公は小学5年生の二郎。家族構成は父、母、姉、妹の5人家族。父は働きもしないでグータラしているだけです。たまに怪しげな大人たちが家にやってきて、父と一緒にコソコソしています。母は食堂(喫茶店?)の店長で上原家の収入はここからのみ出ています。父は元活動家で豪快な性格の持ち主です。国家に組み込まれることを良しとせず、日本にいながら日本国民ではないと言い張ります。そして公の人間に対しては嬉々として反発します。学校の先生に対しても納得できないことにはとことん議論を持ちかけます。先生たちを困らせる父を二郎は疎ましく思っています。
 二郎の気持ちはよくわかります。親が学校に意見するなんてことは恥ずかしいし、先生にも友達にも嫌われてしまうかもしれないと考えてしまいます。それが普通の感性でしょう。それでも二郎はめげないし、同じ学校に通っている妹を守ろうとします。良い兄貴です。もし私の父親がこんなんだったら絶望して学校に行くのが億劫になると思います。それでも逃げなかった二郎を褒めてあげたいです。それにそれを知っていながらも冷やかすことなくいつもと同じように接していた友達にあっぱれをあげたいです。張本さんもきっとくれるでしょう。
 これは一部の話で二部では家族が西表島に引っ越します。島に引っ越してからの父は東京での暮らしとは打って変わり働きに働きます。働くとはスーツを着て会社に通うということではなく、生きるために働きます。つまり漁に出たり畑を耕したりです。生活力のある父を見て子供たちの父を見る目が変わります。最終的には尊敬すべく格好いい父へと昇華されます。これは実際に本を読んで共感してください。母はずっと父のことが大好きです。なんせ母も何を隠そう…
 あとは覚えなくてもいいかもしれませんが、共産主義独特の言葉遣いというのも勉強になりました。展開しろ、とか総括してやる、とか。パブリックスペースでは言えませんがうちうちの会話ではこっそり使おうと思います。
 分厚くてちょっと腰がひけると思いますが、読み始めさえすればそんなに分厚さは気にならなくなると思います。それにこれを読めたらある程度までの厚さの本は読めると自信につながります。長くてもつまらない小説は最悪ですが、長いけど面白い小説は達成感も得られるし悪いものじゃないと思います。

【名言】

考え中



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