タイトル

隠蔽捜査5 -宰領-

本

今野敏

◆あらすじ◆
都県を跨いで誘拐事件を解決

●感想

 待ちに待った隠蔽捜査シリーズの第五弾。私が新品でも買う数少ない本の一冊です。今回は警察を辞め、政治家の秘書になった後輩キャリアからの嘆願から始まります。自分の主である政治家の行方がわからなくなってしまいました。政治家が行方不明となれば当然大事で警察は全力をもって事に当たらなければなりません。だが奇妙な事に捜査は内密にとのお願いです。その理由はこの政治家たまにこういうことがあるらしく、いつもヒョコッと帰ってくるのだそうな。だから大事にすると恥ずかしい思いをしそうで嫌だ、というなんだか情けない理由です。とにかく竜崎が捜査する事になります。
 事件は東京都を越え神奈川にまで及びます。警察事情に明るい人なら分かるでしょうが警視庁と神奈川県警は犬猿の仲。マスコミが言っているだけで事実はどうかわかりませんが、本作でもそういう描かれ方をしています。同じ警察組織でもそんなことがあるなんて。きっと色々事情があるんでしょうね。そんなアウエーに1人で乗り込み指揮をとらねばならなくなった竜崎。案の定現場のたたき上げの警察官に反発されます。が、そこは竜崎。いつも通り仕事をこなし、最終的には神奈川県警察からも信頼を勝ち得ます。めでたしめでたし。
 今回のテーマは警視庁と神奈川県警察の確執だったと個人的には思います。逆境の中竜崎はどんな仕事をするか。でも考えてみたら竜崎って大体逆境に陥るんですよね。貧乏くじを引かされるというか。こういう事案って上手くいけば評価が上がり出世に有利になる。でも失敗すれば一気に出世コースから外れる。何もしなければ評価もされないが降格もない。つまりマイナスがなければ大きな出世はないが、降格もない。このことを考えればほとんどの警察官は事なかれ主義に徹するでしょう。だって出世なんてしなくても安定的に高給取りなんだから。私が官僚になったらまず間違いなくこういう腐った考え方をするでしょうね。自己保身と事なかれ主義。
 竜崎の原理原則は「誰が犯人を捕まえた」ということは重要ではなかった。誰が?よりも「早く安全に」人質を助けることが重要だった。それが正しいことは一目瞭然のはずですが、当事者にとっては「誰が」というのは大事なことなのでしょう。それが評価になるからなのか、エゴなのか、自己顕示欲からなのか本当の理由は警察官にしかわからないでしょう。今度友達に聞いてみよ。ただ自分がもし誘拐されたら「誰が」なんてどうでもいいから「早く」助けて欲しいですね。

【名言】

考え中



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