タイトル

漁港の肉子ちゃん

本

西加奈子

◆あらすじ◆
いつも元気な肉子ちゃんとその娘の日常

●感想

 アメトーク見てミーハー根性丸出しで読もうと思いました。初めて読む作家さんの本でどんなもんかな~と思って読み始めましたが、毒のある文章が小気味良かったです。
 物語は肉子ちゃんの娘・きくりんの視点で語られます。きくりんから語られる肉子ちゃんは不細工だけど心根がとても優しい女性。すぐに惚れ、騙され、それでも人を信じ続けるお人よし。そんな母を持つきくりんはしっかり者で思慮深い。きっと肉子ちゃんが反面教師になったのでしょうね。
 面白かったのは物語の序盤の肉子ちゃんの紹介でした。物語本編はそんなに起伏がなく淡々と日常が描かれています。肉子ちゃんは凄くユーモラスで、特に漢字を分割して「~と読むのやからっ!」と自信満々に叫ぶところが好きです。だからなんだ、と言いたくなります。でも嫌味など言っても始まらない肉子ちゃんにはそのうち言う気も失せるでしょう。この底なしの明るさに惚れる人もたぶんいるはずです。滅多にいないだろうけど。
 舞台は小さな港町。小さい分、住人の仲は親密で隠し事がすぐに広まってしまいます。小さい町特有の煩わしさと、暖かさに満ちた人間関係がリアルです。小学生のきくりんの話し相手は同級生だけではなく、近くの大人たちにまで及びます。それはひとえに町全体で1つの共同体だからでしょう。プライバシーも保てなく、近所付き合いが面倒な面もありますが、犯罪の抑止などには役立ちます。つまり治安が良いということです。見知らぬ人がいれば目立つし、悪い事すればすぐ噂が広がる。戦後日本が失ったものが確かにここにあります。利便性とプライバシーを必要以上に追い求めた結果、都会では隣に住む人の顔を知らないというのもザラです。行方不明になったって似顔絵すら提供できません。人付き合いをしないのは気楽ですが、それがあまり行き過ぎると犯罪が蔓延ってしまい、女子供は出歩けない危険な街になるかもしれませんね。

【名言】

準備中



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