タイトル

マリアビートル

本

伊坂幸太郎

◆あらあらすじ◆
新幹線の中は殺し屋だらけ

●あらすじ

 前作、グラスホッパーから数年後のお話。前作で生きていた何人かは登場します。前作に増して良いキャラが出てきます。個人的に今作のキャラの方が好きで、主人公格は天道虫と王子です。天道虫は運が悪く弱気だけど、切れて正確で速い。王子は狡く賢しい。伊坂作品の中でも西嶋・響野に次ぐナイスキャラです。あ、天道虫の方ね。
 前作は人探しをしていくうちに色んな殺し屋が出会う話でしたが今作は新幹線の中に全員乗車。絶対乗りたくない新幹線ですね。最終的に死体5体、重傷者1名ということになります。もはや現実だったら大事件!
 峰岸さんというその筋の大御所の元に息子とカバンを届けるはずだった兄弟の殺し屋蜜柑と檸檬。そのカバンを奪う仕事の天道虫。息子を重傷にした中学生を殺そうと企てる木村。木村に殺されるはずだった中学生・王子。こんな感じの乗客たち。王子以外は皆愛嬌のある人たちです。
 この王子、人を操るのが得意な中学生。同級生だけでなく大人もその例外ではありません。外見は美少年、羊の皮をかぶった悪魔みたいなヤツです。そして運もある。違うことに力を発揮してれば良いリーダーになれたであろう性格と能力です。
 でも間違ったことにその力を使っています。同級生を支配して自分の欲求を満たすためだけに、友達の愛犬を痛めつけようとしたりします。ここが1番許せなかった。人を痛めつけるシーンよりも犬を痛めつけるシーンに怒りを感じてしまう。犬が無力だからか。それもある。人の命と犬の命どちらが重いか。「人の命の方が重い」という人が多いかもしれません。そして法的にもそれがうかがわれます。それは人を殺すと重い罰が課せられますが、他の動物を殺した時の罰は人のそれに比べて軽いというところからです。もし自分で犬を飼ってて、その犬が殺されたら身内としては、身内の誰かが殺されたのと同じくらい悲しく憤るのではないでしょうか。ちなみに犬を痛めつけようとした理由は電気ショックの効果を見るためと、大事にしている犬を自分の手で殺す飼い主の表情を見てみたいから、というとんでもなく自己中心的で胸糞悪い理由からでした。
 幾度かピンチがありますがその運の強さで窮地を脱する王子。どうやってこの悪魔を葬るのか、まさか生きたままにするつもりなのか?と読んでて思いましたがそこは伊坂幸太郎、きちんとやってくれました。世の中には生きてちゃいけない人というのがいるようです。出来るだけ苦しんで死んでくれることを願ってしまいます。

【名言】

考え中



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