タイトル

海賊とよばれた男(上)

本

百田尚樹

◆あらすじ◆
国岡商店店主・国岡鐵造が正義を貫く

●感想

 出光興産がモデルの石油を巡る戦いの話です。永遠の0を読んだすぐ後だから続きという感じがしました。永遠の0(戦時)、海賊とよばれた男(戦後)という時系列です。上巻は戦争直後から始まり、一度時代を遡り主人公が子どもの頃から戦争終了までを描きます。
 幼い頃は病弱でしたが、歳をとるにつれて逞しく賢く育ち、どこか魅力のある青年に育っていきます。そして運命の出会いがありました。鐵造の今後の人生に多大な影響を与える、日田重太郎との出会いです。魅力的だから良い人物に出会えるのか、良い人物に出会えたから魅力的になっていくのか。どっちが先なんでしょうね。
 現在でいう神戸大学を出た後、無名の商店でキャリアをスタートします。ここで商売のイロハを学び、25歳の時、日田重太郎の出資で起業します。この時日田は大金を捻出しつつも返済を求めず、事業がどうしてもダメになった時は「一緒に乞食をやろうや」と一蓮托生の関係にまでなってくれます。これが正しい金の使い方なんでしょうね。自分が認めた人物に投資する、困っている人を助ける、これが本当の金の使い方なんでしょう。いや~僕もやりたいし言いたい。出資するお金ないけど。自分の生活すら守れてないけど。いつかは…ね。きっと私にも運命の出会いがあるでしょう。
 稀代のカリスマ性を持つ鐵造の元には優秀な人物がどんどん集まってきます。最初から優秀な子もいたのでしょうが、教育によって才能を開花させた子もいます。こうゆう人の下で働けたら幸せですね。「尊敬する人物に褒めてもらいたい」これが1番のモチベーションだと思います。金の動機づけなんていうのはすぐに慣れちゃうんですよ。給料が上がった時は「やったね♪」って思ってもその金額にすぐ慣れちゃうはずです。誰かに褒められたり、頼られるのはとても大きな力になるはず。悪さばっかりしていたレイザーはジンにボコボコにされた後「頼んだぜ、レイザー」と言われたことをずっと覚えているようでした。そしてジンに頼まれたことを実行します。数年も経ってから。まさに言葉がモチベーションを与えた良い例ですね。
 様々な妨害を受けながらも、鐵造は邁進します。それもひとえに日本のため、家族のため、従業員のため、恩人のためです。決して自分のためではないのです。それなのに足を引っ張ろうとする輩がわらわらと出てきます。それをまとめてエイッ!ワザあり~です。競って自分を磨くよりも、足を引っ張って相手を落とす方が楽だからでしょうね。むしろこっちが大多数。鐵造はマジョリティ。大多数が間違っていても、少数の正しい人がいればなんとかなるのかもしれません。民主主義の考え方には反しますが。多数派が正しいとは限らない、少数派の意見にも耳を傾けるべきです。
 生活に密着した商品・石油。この魔法の液体を巡る外国や政府や他社との攻防を描いたお仕事小説です。

【名言】

 なあ、とことんやってみようや。わしも精一杯応援する。
 それでも、どうしてもあかなんだら―― 一緒に乞食をやろうや



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