タイトル

月光ゲーム -Yの悲劇-

本

有栖川有栖

◆あらすじ◆
山でクローズドサークル状態

●感想

 有栖川有栖の作品を読むのは初めてで、THE推理小説という感じでした。クローズドサークルなど初めて聞く言葉もありました。そしてまさか作者の名前をそのまま物語の主人公の名前にしてしまうとは…有栖川有栖…音の響きもテンポもいい素敵な名前ですね。
 大学の推理小説研究会の面々で登山をすることに。たまたま他の大学からも2つの集団が登山にきていた。一緒に食事して、お話して、キャンプファイヤーして、歳が近いこともありすぐに打ち解ける17人。綻びの発端は1人が手紙を残してキャンプ地から消えたこと。それに天災も加わり山に閉じ込められ、楽しかったはずのキャンプが急転直下で生死に関わる状況に。さらにこの閉ざされた空間の中で2人が殺され、1人が行方不明になる。犯人は一体?
 というのが物語の大筋。いや~まず登場人物の多さに苦しめられた。17人もいるから誰がどうゆう人でどんな行動して、誰と誰が良い仲なのかとか全然覚えられない。という訳で推理なんて全く出来なかったぜ!それでも物語の終盤で「読者への挑戦」ということで作者から「推理できる条件は揃った、犯人を特定できます」と宣言があるのは新鮮でした。こういうの初めてで面白かったです。
 犯人の行動には論理的な説明はつきますが、動機が弱いような気がしました。平常時に人を殺すってよっぽどのことがないとやらないと思うんです。まぁ「よっぽどのこと」というのが人によりけりだとは思うのですが、このケースだと共感出来ない人が7割くらいはいる気がします。
 主人公は推理小説研究会に所属する若干大学1年生のアリスですが、謎解きは研究会の先輩「江神二郎」がやります。登場時から雰囲気のある人物であることが窺えました。異様な風貌の大学6年生(4年制だけど留年でもしてるのでしょう)。私の大学にもこういう人が数人いました。異様な風貌は一致するにしても、私の先輩方はただ怠惰なだけ。そこが江神とは違う。謎解きなんか絶対できない。学校来てもタバコ吸ってるだけ。推理小説なんて読めないどころか、「すいりしょうせつ」って読むことすらできなそう。私の先輩の話はここまでに。
 江神さんは多くを語らず、慎重で観察力が鋭いです。自分なりの論理を打ち立てて、裏もちゃんととります。人を惹きつける魅力的な男ですね。こういう人が上司だったら、この人に褒められるために頑張りたいですね。淡々と推理を述べるところにも思慮深さを感じました。混乱状態にあってもこの人が話出せばみんなが聞き耳をたてる、そんな人間に私はなりたい。

【名言】

準備中



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