タイトル

ベイジン(下)

本

真山仁

◆あらすじ◆
日本人が中国で原発を作る

●感想

 はい、下巻です。正直上巻がハゲタカほど面白くないし分厚いしで読むか悩みました。結果から言うと読んで良かったです。下巻の方が断然面白かったです。上巻の前フリがあったからかもしれませんが。
 相変わらず苦戦していますが、段々と日本流のやり方が浸透してきているようです。そして第二の主人公の若き中国共産党幹部・鄧(ドン)さんと田嶋の関係が変わってきます。そっけなかった鄧さんも田嶋の情熱に感化され、内に秘めた炎が外に漏れてきました。2人はいくつもの試練を一緒に乗り越え、「友情」という言葉では弱いくらい、強い絆が生まれました。
 中国人は日本人が嫌いみたいですが、身内でも気に入らない奴はやっぱりいるようです。もうね、お偉方の足の引っ張り合いには辟易します。善行で出世を目指すよりも、相手の悪行を暴露して失墜させ、ライバルを減らすことに心を砕きまくってます。そして政界と財界が癒着しまくっているようです。富める者はどんどん富み、貧する者はどんどん貧する。そりゃ人間性も成長しないわけだ。
 原発はとにかく安全第一です。それを未熟な人間性の中国人を使って作るというのはやはり無理があったようです。主人公・田嶋は開運の日も警報が鳴りまくり、止めるよう進言しますが、それはやはり出来なかった。そりゃねオリンピックとタイアップしているわけですから、ここで開運しないと世界に恥を晒してしまいます。そんなことを中国のお偉いさんが許すはずもない。田嶋は原発から追い出されてしまいました。そしてその後…
 原発って作るのいかに大変か学ぶことが出来ました。個人的には原発は稼働させるべきだと思っていました。日本人が日本で作った原発なら安全だと思っていたからです。確かにヒューマンミスは少ないでしょう。ですが天災は防ぎようがないことは証明されてます。これを克服しない限りは、近くに原発がない私は声を大にして賛成とは言いづらいです。色々と考えさせられる小説でした。今回は2ついい言葉がありました。紹介させてください。

【名言】

 ―原発は、我々に素晴らしい恩恵を与えてくれる。
 だが、人間の心に隙が生まれた瞬間、神の火は、劫火に変わる


 諦めからは何も生まれない。希望とは、自分たちが努力し、奪い取るものだ



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