タイトル

悪貨

本

島田雅彦

◆あらすじ◆
偽金を作って社会を変える

●感想

 この作者の作品を初めて読みました。タイトルの「悪貨」のインパクトに強く惹かれました。偽金作りの話は何作か読んだことがあります。大抵はそこまで資金のない一般人が大金持ちになることを夢見て失敗するストーリーですが、これは違います。偽金を作ることに成功し世に混乱をもたらします。でも作った人間はその混乱の結末を見ることなく人生を終えます。
 真札と贋作の区別がつかなければそれはもう真札と同じでしょうか。貨幣経済は信用で成り立っています。みんなが1万円に1万円の価値があると信じているから、1万円の商品なりサービスと交換ができるのです。今回学んだことですが、偽金によって円の発行量が増えると円の信用が落ち、インフレが起きることです。円の価値が信じられなくなってみんな商品の方を持とうとします。それはそうですね。精巧に作られた偽金は素人目には真札に見えるのですから。
 主人公は持たざるものでした。持ってないばかりに少し偏った思想を持つようになりました。金を持っているものは偉い、そんな世の中を変えたくなりました。どうすればそれが実現できるか。金を持っていることの意味を無くせばいい、そう考えるようになりました。ここが出発点です。どうやってそれを成すかは前述した通りです。
 偽金を作ることはどう考えても難しそうですが、この主人公は成し遂げました。失敗する人と何が違っていたのか。それは資金力とコネクションです。日本のお札は世界でも最高水準の技術で偽札を防止しています。真札と同じように作るためには真札をを刷るのと同じ機材と材料が必要になります。当然これには膨大なお金がかかるし、国家のトップシークレットの1つでしょうからおいそれと手に入るものではありません。つまりお金とコネが必要になるのです。
 そしてもう1つ必要なのは真札と同じように模様を刷れる型です。当然その型を作れる腕の良い職人が必要です。このカードが揃えば偽札を作ることができるでしょう。ただ、偽札を作る罪は重く「通貨偽造罪」といって執行猶予がつきません。絶対やめましょう。みんなが困ります。悪銭身につかずです。
 あとは中国とかでは多くの偽金が出回っていることにも驚きました。外国に行ったら両替は安心できるとこでやったほうが良さそうですね。

【名言】

悪貨が良貨を駆逐する



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