タイトル

1Q84 <7月〜9月>

本

村上春樹

◆あらすじ◆
ちょっと不思議な2人の物語2

●感想

 この前の続きです。天吾と青豆のお話。空気さなぎは順調すぎるくらいに売れて、青豆は相変わらず仕事に精を出す日々。そんな2人の日常に変化が訪れます。
 まずは天吾の話しから。空気さなぎを書き直した天吾はある組織の伝達者から訪問を受けます。お洒落ではないにせよ清潔感があり、自分の身だしなみには気を使う天吾から見ると、不快感を抱くような見た目の来訪者です。見た目もそうだし、話し方も気に入らない。いわゆる生理的に無理な人種です。いますよね、生理的に無理な人って。全てが気に入らない。外見、声、考え方どこをとっても苛立ってしまうような人間。私は好きになる人間より嫌いになる人間の方が多いですが、生理的に無理な人間は100人に1人くらいです。今までの人生で数えてみても3人くらいです。人は誰しもどこかしらに美点があるといいます。それはそうなんでしょう。でもそれを補って余りある短所がある人を生理的に無理だと感じるんだと思います。それはもちろん絶対的なものではなく、人によって違うものでしょう。
 青豆は大きな仕事を任されます。ある大きな組織のリーダーをあちらに移動させることです。そのリーダーは宗教の名の下に年端もいかない幼子と性交を行っているとのこと。そんなのは許せないと思う青豆の依頼人が事を企てます。だが大きな宗教組織のトップだけあってガードが固い。いつもは万全のバックアップを整えて青豆を送り出す依頼人ですが、今回ばかりは万全とはいかず、青豆に幾らかのリスクを負ってもらうことになります。いざ実行日、青豆は嫌な予感に押し潰されそうになります。無事に対象と2人になることに成功しますが、そこで語られる話は想像していた状況とは違うものでした。青豆は戸惑いますが背中を押され仕事を全うします。
 一方の話だけ聞くというのはフェアじゃありませんね。よくあるのは交際している人の悪口。大体大げさに、明らかに相手が悪いように話してしまうんじゃないでしょうか。私はそんなことありませんがね!あくまで一般論としてですよ。これはなぜか考えてみると、きっと自分を肯定して相手を否定してもらいたい気持ちからだと思います。それで「あ、私は間違ってないんだ、やっぱり相手が悪いんだ」と納得したいんだと思います。こういうことが往々にして起こるからこそ、両者の話を聞く必要があると思います。そしてほとんどのケースではどちらかが一方的に悪いことはないはずです。つまりどっちにも落ち度はあるということです。
 2人を取り巻く環境は変わります。環境というか世界が変わります。比喩的な意味ではなくてです。そしてお互いが求め合います。2人に幸福な結末はあり得るのか。この巻では決着がつきませんでしたし、以後どうなるか想像もつきません。次を読むのが楽しみです。

【名言】

 復習ほどコストが高く、益を生まないものはほかにない、と誰かが言った



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